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2023.04.30

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鉱さいの処分方法とリサイクルについて|問題点から実際の事件まで解説

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廃棄物処理法で定める産業廃棄物の種類のひとつに、「鉱さい(スラグ)」があります。鉱さいとは、鉄やニッケル、クロムといった鉱物を精錬する際などに生じる、目的成分以外の溶融物資のことです。そのため、処分の際は適切な手法をもって行わなければなりません。本記事では鉱さいの処分方法に加え、処分における課題点と実際の事件まで解説します。

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鉱さい処分の種類と方法

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鉱さいは産業廃棄物であるため、法律に従って適切に処分しなければなりません。有害物質を含まない鉱さいは「管理型最終処分場」での処分が一般的ですが、鉱さいは再生利用が進んでいる廃棄物でもあるため、リサイクル処理も進んでいます。ここでは通常の鉱さい処分方法に加え、リサイクル処理を行う方法について解説します。

管理型最終処分場での処理

管理型最終処分場は、無害な汚泥や燃え殻、動物の汚物や死体などの遮断型最終処分場でしか処分できない産業廃棄物以外の廃棄物の埋立て処分を行う場所です。

管理型最終処分場で処分される廃棄物

  • 燃えがら
  • 汚泥
  • 紙くず
  • 木くず
  • 繊維くず
  • 動植物性残さ
  • 鉱さい
  • ばいじん

安定型産業廃棄物ではなく、かつ遮断型最終処分場で処理する必要がない程度の有害物質含有量の産業廃棄物は、管理型最終処分場で処理されます。安定型最終処分場と遮断型最終処分場の中間的な機能を持った最終処分場です。

リサイクル処理

鉱さいとして排出される廃棄物は、見たところ石や砂によく似ています。加えて、外観だけではなく性質の面でも鉱物資源の代替として利用できるものが多くあるため、リサイクルによる再生利用も進んでいます。ここでは、鉱さいのリサイクル処理の内容について解説します。

セメント原料

電気炉などから排出されたスラグや使用済みの鋳物砂は、セメントの粘土原料としてリサイクルされます。汚泥、燃え殻、ばいじんなど他の産業廃棄物もセメント原料としてリサイクルされることがあります。セメント原料化については有害物質溶出のおそれが無いとされているため、リサイクル処理としては最も有効な方法といえるでしょう。

路盤材

路盤材とは、道路を敷設する際にアスファルトやコンクリートの路面の下に規格に則った強度と粒度(粒の細かさ)で石や砂利を敷きつめるための資材です。これにより、地盤への荷重が適正に伝わります。鉱さいはその性質から路盤材に適しているため、スラグや鋳物砂を再資源化した再生砕石が広く利用されています。しかし、路盤材として鉱さいをリサイクルする際は路盤材に適した成分かどうか判断が必要です。

磯焼け対策

磯焼けとは、海岸に生息する海藻類が死滅することで生態系のバランスが崩れてしまう現象を指します。コンブやワカメなど海藻類が失われ不毛の状態となる磯焼け現象は、日本各地の海岸約5,000kmにわたっており、現在も広がり続けています。さらに、亜熱帯の沖縄の海では、サンゴ礁が失われる白化現象が起きている磯焼けが発生してしまうと、周辺に生息していた海洋生物が減少するため、漁業をはじめ様々な部分に深刻な影響を及ぼします。こうしたなか、鉱さいに含まれる「鉄鋼スラグ」の海中投入によって鉄分補給が期待できるとして、磯焼け対策に使用するリサイクル手法が近年では注目されています。

肥料

高炉スラグは肥料成分であるCaO、SiO2、MgOを含んでいるため、「鉱さいけい酸質肥料」(ケイカル肥料)として稲作用に使われています。製鋼スラグもまた、これら3成分のほかにFeO、MnO、P2O5などを含んでおり、稲作用のほかに、畑作、牧草用として幅広く利用されています。さらに、アルカリ分の作用により土壌の酸性改善も期待できるため、鉱さいは肥料としてもリサイクル活用されます。

鉱さい処分の費用相場

鉱さいの処分費用は、地域や処理業者によって異なりますが主に以下の通りとされています。

鉱さい処分の費用相場目安

  • 30~80㎏:10,000円~18,000円/m3

しかし、排出する鉱さいの状態などによっても費用は大きく変わります。鉱さいの処分を処理業者に委託する際は費用相場を把握したうえで、複数社に見積もりを依頼し、比較することがおすすめです。

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鉱さい処分の問題点

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鉱さい処分はリサイクル処理も含めて広く普及していますが、廃棄物ということもありいくつかの問題を抱えています。ここでは、鉱さい処分の問題点について解説します。

すべてをリサイクルできていない

鉱さいの再利用は日本産業規格(JIS)が制定している基準により、路盤材や骨材としての再利用がなされています。しかし、鉱さい全てをリサイクル処理することはできません。理由としては、品質について不安視する声、長期的な目線で見た時の健康被害の可能性や強度・安定性についての問題も解消しきれないことがあげられます。また、鉱さいをリサイクルするための技術は、現状ではまだまだ発展途上です。そのため、思うようにリサイクルが進んでいないということが実際の状況です。

環境汚染の可能性がある

鉱さいには、多量の重金属が含まれています。リサイクルを行う際は、それらに含まれる有害物質が流出することが無いよう適切な処理・対処が求められます。しかし、建設資材などでリサイクルがなされた場合は、長期間にわたって外部に露出します。そのため、初期段階では問題が出ず、時間経過とともに有害物質による重大被害が発生する可能性も否定できません。鉱さいは、その性質を考えると有用な廃棄物といえますが、一方で大きな危険性を抱えている廃棄物ともいえるでしょう。

鉱さいが原因の事故・問題も起きている

鉱さいのリサイクルは、日本産業規格(JIS)で定められています。そのため、重金属が外部に流出しないような適切な処理を行わなければなりません。しかし、現実問題として処理の甘さにより完全な対処ができていない場合も少なくありません。そのため、実際に被害が出ている事例も複数発生しています。鉱さいは有用な産業廃棄物です。しかし、その反面大きな危険性を抱えている廃棄物であることも事実です。

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鉱さいの不適切な処分方法による事件

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鉱さいは適切な処理方法で処理しなければなりません。しかし、現実問題として鉱さいの不適切な処理によって起こった事件も少なくはありません。ここでは、鉱さいの不適切処分によって起こった実際の事件を紹介します。

大阪府鉱さい不法投棄事件

「大阪府鉱さい不法投棄事件」は、大阪の業者が排出事業者から処理を委託された「鉱さい」を岡山県倉敷市の造成地に不法投棄を行ったという事件です。鉱さいが大量に不法投棄されるという事例は多くはありませんが、路盤材の需要が近年減少しているため、手早く利益を増やすことができる不法投棄に手を染めたものと考えられます。報道によると、鉱さいを汚泥と混合した上で不法投棄をしていたとのことです。この不適切処理によって、近隣の市民は多大な被害を受けています。

六価クロム鉱さいによる汚染土壌

昭和50年7月、江戸川区堀江町(現:南葛西)近隣の住民団体は、同区に大量の鉱さいが埋立てられていると発表しました。これを契機に、江東・江戸川両区に多くの六価クロム鉱さいが埋立てられている事実が明らかになりました。

当時、全国の産業廃棄物は1日87万トンにものぼりましたが、処理の実態がはっきりせず廃棄物処理法の早急な規制強化が望まれました。その後東京都は、昭和52年11月の都知事の対話集会での表明、クロム対策会議の提言を受け、平成3年まで住民健康影響調査を実施しました。

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まとめ

鉱さいは、リサイクル活用が進んでいる有用な廃棄物です。しかしその性質上、有害物質を多分に含んでいるため適切な処理のもとリサイクルを進めなければなりません。鉱さい処理を行う際は、適切な処理を実施してくれる信頼のある業者に委託するようにしましょう。

北海サンド工業では通常は埋め立てになってしまうような、燃え殻・ばいじん・鉱さいのリサイクルを行っています。また、鉱さいの受入処分はもちろん、使用済みブラスト材をリサイクルした「SNB-1(フェロニッケルスラグ)」などの製造・販売も行っています。ブラスト処理後の鉱さい処分でお困りなら、北海サンド工業にご相談ください。

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鉱さい(ブラスト材)・無機性汚泥・燃え殻・ばいじんの産業廃棄物処理のほか、再生ブラスト材、滑り止め撒き砂、焼砂・乾燥砂の製造・販売を行っています。自社工場で使用済み鉱さい(ブラスト材)の処分と再生ができる道内では数少ないメーカーの1つ。安全・安心な商品を提供します。

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