ブラストは、対象物の表面に投射材を吹き付けて加工を行う処理方法です。薬品を使わないのでどんな材質にも対応でき、投射材の形状やサイズによって多種多様な処理ができるのが特徴です。ブラスト処理後に発生する残留物は産業廃棄物(鉱さい)であり、その処分に悩む事業者も多いことでしょう。
ここでは、ブラストの特徴や用途、メリット・デメリット、鉱さいの適切な処理方法などを解説します。
北海道の「燃え殻・ばいじん・鉱さい(廃サンドブラスト)・無機性汚泥」に特化した産廃処理会社!お問い合わせはこちらからブラストとは?ブラスト加工の基礎知識
最初に、ブラストの特徴や対象となる加工物、吹き付ける投射材などを解説します。
ブラストとは
ブラストとは、表面処理を行う方法のひとつです。エアーブラスト機やショットブラスト機と呼ばれるブラスト装置を利用して、金属などの加工物の表面に、銅や鉄でできた小球や細かい砂などの投射材を吹き付けたり衝突させたりします。これにより表面に小さな凸凹を作って粗化するほか、研削、研掃などを行うことができます。
ブラストの特徴
ブラストには、以下のような特徴があります。
たたく・削るなどの物理的な加工
ブラスト処理には薬品や有機溶剤などを使用しません。すべて対象物をたたく、削る、こするなどの物理的な加工をして効果を発生させます。
加工力は粒子の質量、スピード、形状で決まる
ブラスト処理では粒子以外の力が加わらないので、投射時のその質量やスピード、形状により加工力が決まります。
加工面は方向性がない
ブラスト処理では粒子を一定の力で対象物に投射するので、対象物の表面には粒子の大きさに合わせた凹凸が大量に形成されます。これにより方向性のないランダムな凹凸表面となり、節目が発生することがありません。
様々な処理効果を得られる
投射する粒子の材質やサイズ、形状、衝突スピード、質量などを変えることで、様々な処理効果を得られるのもブラストの特徴です。多角形の粒子ならば研磨効果があり、球形の無数の粒子を使うショットピーニングだと、摩耗性や放熱性を向上させることができます。
素材に合わせた仕上げができる
ブラスト処理では小さな粒子を対象物に直接衝突させるので、対象物の材質を選ばずに処理ができます。金属やガラス、石、木材など、素材に合わせた仕上げができ、汎用性に優れた加工法といえます。
ブラストの対象物(ワーク)と投射材(メディア)
ブラストの対象となる加工物は、「ワーク」と呼ばれています。金属やセラミック、ガラス、プラスチック、ゴムなど、さまざまな材質の加工が可能です。また、吹き付ける投射剤は「メディア」といい、鋼製・鋳鉄製の小球や細かな砂のほか、ステンレス、スチール、アルミニウム、ガラスビーズ、プラスチック、ナイロン、くるみの殻などを使うこともあります。
北海道の「燃え殻・ばいじん・鉱さい(廃サンドブラスト)・無機性汚泥」に特化した産廃処理会社!お問い合わせはこちらからブラストの用途
ブラストにはさまざまな活用法があります。以下でそれぞれについて解説します。
サビ取り
金属製の材質は時間が経ったり環境によってサビが発生することがあります。ブラストは対象物の材質を選ばず、薬品を使用しないためサビの除去に活用できます。
金型洗浄
工業製品などの大量生産を目的に作られる金型は、内部に離型剤や成形材料カスなどの汚れが溜まることがあります。そういった汚れもブラストで除去することができます。
梨地加工
梨地加工とは金属や樹脂などの表面に、「梨地(なしじ)」と呼ばれる無数の細かい凹凸を形成する加工のことです。柔らかな光沢や艶消しのために使われます。ブラストで使用する投射材の粒子の大きさや形状、材質によって、様々な形状の梨地を作り分けることが可能です。
バリ取り
金属や樹脂などの加工時に発生する突起物や、型同士の合わせ目からはみ出して固まった「バリ」は、製品使用時のケガや品質の低下など様々な不具合につながります。ブラスト処理はこのバリの除去にも活用されています。
塗装剥離
加工された金属の表面は、防錆や耐候性の向上のために塗装されていることがあります。複雑な形状の金属などの剥離は難しいため、対象物がどんな素材でも加工ができるブラストは活用に向いています。
酸化スケール除去
ブラストでは、熱処理工程で対象物の表面に発生する「黒皮」や、ミルスケールとも呼ばれる「酸化スケール」の除去もできます。
ショットピーニング
ブラストで無数の鉄や非鉄金属の丸い球を高速度で金属表面に衝突させる「ショットピーニング」を施すと、表面の硬さが増し、耐摩耗性や疲労強度を向上させることもできます。
研磨
ブラスト処理で、対象物の表面を削り細かい凹凸を形成する、または、表面の凹凸を削って光沢を持った鏡面に仕上げるなどの研磨もできます。
北海道の「燃え殻・ばいじん・鉱さい(廃サンドブラスト)・無機性汚泥」に特化した産廃処理会社!お問い合わせはこちらからブラストの種類
ブラストは、以下の2種類に大別できます。
エアーブラスト
「エアーブラスト」とは、投射材を空気で飛ばす方式です。エアーコンプレッサーで圧縮した空気を利用して、エアーの早い流れに乗せて投射材を打ち付けます。「サンドブラスト」とも呼ばれます。
ショットブラスト
もうひとつは「ショットブラスト」で、ブレードと呼ばれる羽根車のついた投射機を高速回転させ、その遠心力を利用して投射材を打ち付ける方式です。主に鉄や亜鉛、ステンレスなどの高硬度の材質や、比重の大きい投射材で処理する際に用いられます。
北海道の「燃え殻・ばいじん・鉱さい(廃サンドブラスト)・無機性汚泥」に特化した産廃処理会社!お問い合わせはこちらからブラストのメリット
ブラストを行うことで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。
耐久性の向上
小さな投射材を高速で加工物の表面にぶつけることで表面を硬化させ、耐久性が向上します。金属製品や部品などが摩耗・損壊しにくくなるので、使用寿命が延びます。
滑り止め、緩み止め効果を高める
ブラストにより対象物の表面が粗くなることから、滑り止め、ゆるみ止めの効果を高めます。また、対象物の表面積が増大し、密着性の向上も期待できます。
細かい場所でも処理できる
ブラストは対象物に投射材を吹く加工法なので、大型の機械などを必要としません。そのため非常に細かい対象や、機械ではできないような形状の加工も可能です。
幅広い処理効果を得られる
ブラストでは、同じ装置でも粒子のサイズや形状、材質、質量などが変わることで、多種多様な効果を得ることができます。
北海道の「燃え殻・ばいじん・鉱さい(廃サンドブラスト)・無機性汚泥」に特化した産廃処理会社!お問い合わせはこちらからブラストのデメリット
ブラストのメリットだけではなく、デメリットも確認しておきましょう。
処理できる部分が限定される
ブラストで処理できるのは投射材の粒子が当たる部分のみなので、その部分しか加工できません。そのため大きなサイズになると処理時間が増えてしまいます。
鉱さい(スラグ)が発生する
加工後に研削くずや、破砕した研磨材の破片などが鉱さい(スラグ)として発生します。鉱さいがあると、曲がりや変形、歪みにつながる可能性があります。また、適切な手順や設備で廃棄処分も行わなくてはなりません。
北海道の「燃え殻・ばいじん・鉱さい(廃サンドブラスト)・無機性汚泥」に特化した産廃処理会社!お問い合わせはこちらからブラスト後の鉱さいの処理方法
ブラストで生じた鉱さいは適切な処理・処分が必要ですが、再生利用も可能です。
鉱さいとは
鉱さいとは、鉱物を精錬する際などに生じる目的成分以外の物質のことで、スラグともいいます。鉱さいは産業廃棄物の1つなので、収集運搬や処分をする際には法律で定められた方法で取り扱わなければなりません。
鉱さいのリサイクル方法
鉱さいは管理型最終処分場で埋立て処分を行い、有害物質を含む場合は遮断型最終処分場にて埋立て処分されます。一方で再生利用も積極的に行われています。ここでは、そのリサイクル方法を紹介しましょう。
鋳物砂として再生利用する
使用済みの鋳物砂には鋳物砂のほかに鉄が混じっているので、機械などにより磁力選別をして鉄を取り除きます。これにより、鋳型に流しこむ原料となる鋳物砂として再生利用が可能となります。
路盤材やアスファルト、コンクリートなどの再生骨材にする
鉱さいや使用済みの鋳物砂は、道路へ敷き詰める路盤材やアスファルト、コンクリートの再生骨材としてリサイクルできます。
セメントの原料にする
鉱さいは、セメントの粘土原料としても再生利用ができます。セメント原料は有害物質溶出のリスクが少ないので、安心して再利用できます。
ブラスト材として再生利用する
使用済みのブラスト材に混在する木くず・プラスチック類・金属くず等を取り除き、ブラスト材に適した粒径に整える事で再びブラスト材として利用可能です。
処分・再生・販売までワンストップで行うサービスもある
適切な処分処理が必要なブラスト処理後の鉱さいですが、その処分の受入だけではなく、再生ブラスト材の製造・出荷までを行っている会社もあります。
北海サンド工業は、北海道で初めて鉱さいの中間処理(乾燥・選別)についての許可を取得しました。また、再生ブラスト材の製造も実現し、処分から再生・販売までを自社工場内でワンストップで行っています。
北海サンド工業のこのようなサービスを利用することで、ブラスト処理で発生した鉱さいの処分や再生利用による資源保護なども、安心して委ねることができます。
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ブラストは、加工物に投射材を吹き付けて表面処理を行う加工法で、素材を選ばずに加工ができ、さまざまな処理効果を得られる手法です。ただし処理後に発生する鉱さいは産業廃棄物の1つなので、法律で定められた方法による処分や廃棄が必要となります。
最近は鉱さいをリサイクル活用することも多く、北海サンド工業では通常は埋め立てになってしまうような、燃え殻・ばいじん・鉱さいのリサイクルを行っています。また、鉱さいの受入処分はもちろん、使用済みブラスト材をリサイクルした「SNB-1(フェロニッケルスラグ)」などの製造・販売も行っています。ブラスト処理後の鉱さい処分でお困りなら、北海サンド工業にご相談ください。