産業廃棄物の排出事業者になった場合には、マニフェストを発行しなければなりません。しかしいきなりマニフェストを書かなければいけなくなった場合には、ほとんどの方が書き方を知らないことでしょう。また、マニフェストが必要になる理由なども知っておかなければなりません。
本記事では、マニフェストが必要な理由やマニフェストの種類、種類別のマニフェストの書き方などについてまとめて解説します。
排出事業者責任とは
排出事業者責任とは、その名の通り、産業廃棄物を排出する事業者に生じる責任のことです。産業廃棄物を排出する事業者が廃棄物処理を他人に委託する場合には、定められたさまざまな基準に従わなければなりません。その中でも特に重要なのが、マニフェストの交付です。産業廃棄物の排出事業者は、その処理を他人に委託する場合には紙マニフェスト、あるいは電子マニフェストのどちらかを発行しなければなりません。
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マニフェスト制度は、排出事業者責任の明確化と、不法投棄等の防止を目的として制定されています。マニフェストを作成することで、排出事業者は産業廃棄物の処理に迷うことがなくなり、トラブルを未然に防ぐことができるためです。マニフェスト発行をしていなかったり、ルールに違反したマニフェストを発行すると、罰則を受けることもあります。
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産廃マニフェストとは、産業廃棄物の処理が適切に実施されたことを確認するための書類のことを意味します。廃棄物処理法施行規則第8条に規定があり、排出事業者が他の業者に産業廃棄物の運搬・処理を委託する際に交付されるものです。
また、産廃マニフェストには、紙マニフェストと電子マニフェストの2種類があります。一部の産業廃棄物を除き、どちらを選択するのかについては選べます。産業廃棄物の処理工程のそれぞれについてマニフェストを作成し、作成したマニフェストは5年分保管しておかなければなりません。
産廃マニフェストを発行する必要がない時代もありました。しかしそのときには、どの工程でどんな産業廃棄物をどの事業者が排出したのかわからなかったため、産廃排出事業者の責任が不明確でした。それぞれの廃棄物の責任を明確にするために、産廃マニフェスト制度が導入されたのです。
紙マニフェストのメリット・デメリット
マニフェストには紙と電子の2種類がありますが、紙マニフェストはマニフェスト制度が始まった当初から使われているマニフェストです。
7枚の複写式で構成されていて、それぞれに以下の役割を持っています。
- (A票) 排出の確認(排出事業者控え)
- (B1票) 運搬終了の確認(収集運搬業者控え)
- (B2票) 運搬終了の確認(排出事業者控え)
- (C1票) 処分終了の確認(処分業者控え)
- (C2票) 処分終了の確認(収集運搬業者控え)
- (D票) 処分終了の確認(排出事業者控え)
- (E票) 最終処分終了の確認(排出事業者控え)
紙マニフェストのメリットは、すぐに作成できること、排出回数が少なければ手間がかからないことなどです。逆にデメリットは、記載ミスや記載漏れが発生しやすいこと、紛失の可能性があることなどになります。
電子マニフェストのメリット・デメリット
電子マニフェストは、1998年に運用が開始されました。マニフェスト情報をネットワークでやり取りすることで、業務効率化と確実性を向上できる新たな仕組みです。電子マニフェストを利用するためには、事業者と委託企業の双方が日本廃棄物処理振興センターが運営する電子マニフェストシステム(JWNET)への加入が必要になります。
電子マニフェストのメリットは、システムで正確な管理ができること、排出事業者・収集運搬業者・処分業者それぞれがリアルタイムでの状況把握ができること、事務処理の効率化につながるなどです。逆にデメリットは、導入コストがかかること、事業者だけでなく運搬業者や処分業者まで、システムに加入し運営方法を習得する必要があることです。
電子マニフェストは、廃棄物を多数排出する事業者にとって業務改善を実現でき、おすすめです。
マニフェスト運用の流れ
マニフェストはそれぞれの工程で発行する必要があります。まず、排出事業者はA票を排出の確認として控えておきます。収集運搬業者が運搬を完了すると、B1票を収集運搬業者の控えとして持っておき、B2票は排出事業者に送付されます。
さらに、中間処理業者が処分を終了した際には、C1票を中間処分業者の自社控えとして持っておき、C2票は収集運搬業者の手元に確認のため、D票は排出事業者の手元に確認のため、それぞれ届きます。最終処分まで完了すると、E票が排出事業者に届きます。
それぞれのマニフェストは5年間分保管しておかなければなりません。
マニフェストには3種類ある
マニフェストには、事業系マニフェスト、建設系廃棄物マニフェスト、積替保管用マニフェストの3種類が存在しています。
事業系マニフェストは産業廃棄物が運搬業者を通して直接最終処分場へと運搬される際に必要なマニフェストです。建設系廃棄物マニフェストは建築・解体など、建設現場で発生した産業廃棄物を運搬・処理する際に必要なマニフェストになります。3つ目のは積替保管用マニフェスト排出された産業廃棄物が、別の運搬業者によって積み替えられて運搬される際に必要なマニフェストです。
産廃マニフェストの書き方
産廃マニフェストには書き方があります。本項で解説します。
事業系マニフェストの書き方
事業系マニフェストは「A」「B1」「B2」「C1」「C2」「D」「E」の7枚つづりの構成になっています。事業系マニフェストには、以下の項目を記載します。
交付年月日 | マニフェストを発行した月日 |
交付担当者 | マニフェストを交付した担当者 |
排出事業者 | 排出事業者の情報(氏名または会社名、住所、電話番号) |
排出事業場 | 排出事業場の情報(名称または会社名、現場の住所、現場の電話番号) |
産業廃棄物 | 排出する産業廃棄物を各品目チェック欄に印をつける(該当しない場合はその他に記載) |
数量 | 産業廃棄物の数量 |
荷姿 | 廃棄物の荷姿 |
産業廃棄物の名称 | 「廃タイヤ」など廃棄物の名称 |
有害物質等 | 有害物質がある場合に記入 |
処分方法 | 「乾燥」「選別」「破砕」「造粒固化」など処分方法を記載 |
中間処理産業廃棄物 | 中間処理業者がさらに処理を委託する際に記入 |
最終処分の場所 | 最終処分の場所(名称/所在地/電話番号)について記載 |
運搬受託者 | 収集運搬業者の情報(氏名または会社名、住所、電話番号) |
運搬先の事業場 | 処分業者の事業場(名称または会社名、住所、電話番号) |
処分受託者 | 処分業者の情報(氏名または会社名、住所、電話番号) |
積替え又は保管 | 積載や保管を行う際には記入 |
建設系廃棄物マニフェストの書き方
基本的な内容は事業系マニフェストと共通していますので細かい記載項目は省きます。
建設系廃棄物では、種類によって処理方法が変わるため、運搬業者によって記載する廃棄物の項目が異なります。廃棄物の項目ごとに運搬業者を記載できる仕様になっているので、それぞれの運搬業者を記載します。
積替保管用マニフェストの書き方
積替保管用マニフェストは、積替え保管用に「運搬受託者」と「運搬先の事業場」の記入が必要になります。「最終処分の場所」と混同しやすいため、特に注意しなければなりません。
事業系・建築系廃棄物と異なり、「B4票」「B6票」が別にあり、「B2票」とあわせて3枚のB票が排出事業者に返送されてきます。
マニフェストを書く際の注意点・ポイント
マニフェストを書く際には注意しなければならない点がいくつかありますので本項で解説します。
虚偽の内容は記載しない
当然ではありますが、虚偽の内容を記載してはなりません。マニフェストに記載された内容は、処理の実態と一致している必要がありますので、丁寧に記載しましょう。虚偽の内容を記載した場合は、故意でなくても罰則が科せられます。罰則が科せられれば事業者としてのイメージダウンは避けられません。
漏れのないよう法定記載事項を全て書く
マニフェストにはたくさん書くことがあります。その上、書かなければならない書類の枚数も多いです。そのため、記載を飛ばしてしまったり、誤ってしまう可能性も考えられます。しかしながら、マニフェストの必要項目に記載漏れがあった場合にも、罰則が科せられてしまいますので、慎重に記載しておきたいところです。
書き間違えても再発行しない
マニフェストは、そもそも書き間違えないように細心の注意を払いましょう。書き間違えたまま提出してしまうと、ルール違反になってしまい、罰則を科せられてしまいます。また、書き間違えて提出したからといって、再発行してしまうこともルール違反となります。つまり罰則を科せられてしまいますので、最初の段階で書き間違えないように注意してください。
マニフェストは保管する
マニフェストは必ず5年間分を保存しておかなければなりません。紙マニフェストを選択した場合には、産業廃棄物の処理数に応じて、書類が増加します。煩雑な管理にならないためにも、電子マニフェストへの切り替えをおすすめしておきます。
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マニフェストは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に運用方法や罰則などが細かく規定されています。マニフェストの不交付、虚偽記載、報告義務違反および保存義務違反などの場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されてしまいます。さらに、不適正処理が行われると、都道府県から措置命令を受けることもあります。措置命令に従わない場合は刑事罰が科せられ、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはこの併科を受ける可能性もあるのです。
過去にもさまざまな事業者が違反を犯し、罰則を科せられています。例えば、産廃処理業者に委託した契約委託書を5年間保存していなかった事業者には3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金又はこれの併科が科せられました。他にも運搬事業者に運搬の許可がなかったり、下請け業者が産廃の処理方法を勝手に変更したりなど、さまざまな事例があります。
上記の事例のようにさまざまな違反事例があったために、マニフェスト制度は法制化されていった事情があります。
※参考:廃棄物の処理及び清掃に関する法律
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産業廃棄物の排出事業者となった場合、マニフェストは必ず理解しておかなければなりません。マニフェストの書き方を間違えたり、マニフェストを再発行してしまうと罰則が科せられてしまいますので、十分に注意してマニフェストを発行してください。
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