土壌汚染は、土に有害物質が蓄積して汚染されている状態を指し、様々な経路で人の健康や生活生態系などの環境に影響を与えます。そのため、土壌が汚染された状態のまま何も対策を講じずに放置すれば、時間が経過すれば経過するほど環境リスクは大きくなってしまいます。
今回は、土壌汚染対策の基礎知識に加え、土壌汚染対策として企業が知っておきたい対策を解説します。
土壌汚染対策はなぜ必要か
土壌が有害物質により汚染されると、その汚染された土壌を直接摂取したり、汚染された土壌から有害物質が溶け出した地下水を飲用すること等により人の健康に影響を及ぼすおそれがあります。
土壌汚染は、近年、企業の工場跡地等の再開発等に伴い、重金属、揮発性有機化合物等による土壌汚染が顕在化してきています。
また、有害物質による土壌汚染は、放置すれば人の健康に影響を及ぼすことが懸念されますが、対策に関する法制度がないことから、土壌汚染による人の健康への影響の懸念や対策の確立への社会的要請が強まっています。
このような状況を踏まえ、環境省では、平成12年12月から学識経験者から成る「土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会」において、土壌環境保全対策のために必要な制度のあり方について調査・検討を進めてきました。
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土壌汚染対策は、環境破壊・健康被害を無くす目的で、法律によって調査・報告が義務付けられています。
ここでは、土壌汚染を防ぐための具体的な法律・対策について解説します。
土壌汚染対策法
土壌汚染対策法とは、土壌汚染の現場把握を行い、健康被害を防止するための措置を進めることを目的とした法令です。
土壌汚染の状況を把握するために、一定のタイミングで土壌の調査が実施されます。
<土壌調査のタイミング>
- 指定している有害物質を使用した特定施設を廃止したとき
- 土地の形質変更を届け出る際に、都道府県知事などが土壌汚染の可能性を認めるとき
- その他、土壌汚染の可能性を都道府県知事などが認めるとき
土壌汚染対策法は健康被害防止の目的を果たすために、以下の流れを作り出します。
- 土壌汚染を発見する
- 公に知らせる
- 必要に応じて除去などを行う
- 健康被害が起きないように管理を行う
国内において土壌汚染対策法は、土壌汚染に対応していくための基本ともいえるでしょう。
汚染物質別の対策
汚染物質の種類ごとにも対策が行われており、それぞれの特性に合わせた方法が実施されています。
具体的にはVOC(揮発性有機化合物)、重金属、硝酸・亜硝酸性窒素で分けられ、汚染への対策が行われています。
VOCへの対策
揮発性有機化合物のことをVOC(Volatile Organic Compounds の略称)といいます。これは蒸発しやすく、大気中で気体となる有機化合物の総称です。
VOCは様々な成分があり、主なものだけでも200種類はあります。
<VOCに関する対策方法>
- 汚染された土壌や地下水をその場で浄化する
- 汚染土壌のガスを抽出する
- 汚染された地下水を揚水し有害物質を分離する
- 汚染土壌を掘削し除去する形で廃棄する
重金属への対策
重金属への対策に関する対策方法には、いくつかの種類があります。
<重金属への対策方法>
- 汚染土壌や汚染された地下水を浄化し、処理を行う
- 汚染地下水を揚水して物質の分離を行う
- 汚染土壌の掘削除去を行う
- 汚染された土壌を固形化する
- 汚染された土壌を不溶化する
硝酸・亜硝酸性窒素への対策
硝酸・亜硝酸性窒素への対策に関する対策方法には、いくつかの種類があります。
<硝酸・亜硝酸性窒素への対策方法>
- イオン交換膜を汚染部分に通過させ、硝酸イオンを除去する
- 微生物の働きを活用して、硝酸イオンを窒素ガスに還元する
土壌汚染対策としてとるべき5つの対応
土壌汚染対策は、事業者それぞれが法律に従って具体的な対応をとらなければなりません。
ここでは、各事業者が土壌汚染対策として取るべき対応方法について解説します。
汚染を発生・拡大させない
現在使用しているビルや工場等において、新たな汚染の発生・拡大を起こすことは、将来の土壌汚染調査・対策費用の増大や、その不動産価値の下落に直結します。
現在の事業活動において、有害な化学物質を使用しているのであれば、その代替物質の使用を検討する必要があります。また、代替物質がなければ、有害物質の搬入・貯蔵から使用・排出・廃棄に至るまで、有害物質に係わる全てのプロセスを厳重に管理しなければなりません。
新たな土壌汚染の発生・拡大を絶対に起こさないことが重要です。
調査を実施する
調査の主体者が土地所有者である以上、法律上の調査命令が下らない限りは調査をする必要はありません。
しかし、リスクマネジメント上、自主的に調査を実施しておくことによって、適切で効果的な経営資源の配分を将来にわたって継続することが可能となります。
最低限、過去の土地使用履歴等の書類調査や簡便なサンプリング調査を実施し、現状把握を実施しておくことが望ましいといえます。
適切な調査・浄化業者を選定する
汚染調査・浄化作業のほとんどを調査・浄化会社に委託して実施する以上、企業としてリスクをコントロールできるポイントは、適切な調査・浄化会社を起用することです。
ここ数年の土壌汚染ビジネスの盛り上がりによって、調査や浄化技術の発展が著しく、価格・技術の両面において過当競争の傾向にあるといえます。企業としては、少しでも安い業者を起用したいと考えるところですが、価格面だけで業者を選ぶのは危険です。
企業自らが土壌汚染に関する知識を身につけ、技術的にも信頼できる業者選びをすることがリスク対大 経営への影響度、 小消費者からの信用失墜コーポレート・ブランドの低下、株主からの信用失墜策の重要なポイントです。
汚染を発見したら放置しない
土壌汚染は、放置していても短期間で自然に改善されることはほとんどありません。
さらに、揮発性有機化合物のような移動性に富んだ物質による汚染の場合、放置しておけば時間の経過とともに徐々に汚染範囲を拡大し、自社の土地だけでなく周辺の土地まで汚染する可能性があります。
自社の土地が汚染されていることを認識したにもかかわらず、それを放置しているという事実が内部告発や社外組織の調査等によって外に漏れ、企業の信用やイメージを大きく失墜するといったケースも考えられます。
汚染を放置することによるリスクの大きさとのバランスを考え、適度に経営資源を投入してリスクを低減することが必要です。
適切な情報公開を行う
企業が汚染調査によって判明した情報は、周辺住民に対して、事前に業者と協力して公表する情報の過不足、正確性について十分検討し、主体性と計画性を持って適切なタイミングで公表するのが望ましいでしょう。
少なくとも、企業外部組織から調査されて、調査結果がメディア等に公表される前に情報を伝えることが重要です。また、自治体は要措置区域、形質変更時要届出区域の指定を行う必要があります。
加えて、汚染されている事実がたとえ発覚しても、責任を回避するような発言をしないことも大切です。理由としては、周辺住民は汚染を引き起こしたことよりも、情報の遅延や改ざん、あるいは隠ぺいに対して厳しい目で見られるからです。
まとめ
土壌汚染は、様々な経路で人の健康や生活生態系などの環境に影響を与えます。また、自然に解消されることもほとんど無いため、土壌が汚染された状態で時間が経過すれば経過するほど環境リスクは大きくなってしまいます。
そのような事態を防ぐためにも、事前に土壌汚染を防ぐための対策を考えることに加え、産業廃棄物の処理は適正に処理を行ってくれる処理事業社に依頼しましょう。
北海サンド工業は、北海道で最初に鉱さいの中間処理の許可を取りました。また、通常は埋め立てになってしまうような、燃え殻・ばいじん・鉱さい・汚泥のリサイクルも可能です。
産廃処分業者をお探しの場合は、どうぞご相談ください。