企業には自社の製品やサービスの品質を維持し高めていくだけでなく、従業員や消費者、環境などに対しどのように事業を進めていくか社会的責任が求められています。
本インタビューでは、CSR活動として脱炭素社会や循環型社会実現への貢献を掲げ、その一環として北海サンド工業にリサイクルを委託する 株式会社ダイナックス カーボンニュートラル推進部に所属する舟根氏に、事業内容や環境への取り組み、北海サンド工業を利用した感想などをお伺いしました。
株式会社ダイナックスについて
株式会社ダイナックスは、自動車や産業用・建設機械用・船舶用の摩擦機能部品の製造・販売を行っている会社です。
北海道千歳市に本社を構え、苫小牧、アメリカ、中国、メキシコ、ハンガリーにも生産拠点をもつ、北海道発のグローバルカンパニーです。
自動車用の湿式クラッチが主力商品 より良い品質システムの構築により期待以上の品質提供を目指す
弊社は自動車や二輪車のほか、建設機械や産業車両、農業機械などに使われる湿式摩擦材ディスク、プレート、クラッチパック、ロックアップクラッチ、シンクロナイザーリングといった製品の製造を行っています。
ただ作るだけでなく、製品の研究開発から設計、販売に至るまでのプロセスを一環して担っています。
中でも自動車用トランスミッションの中に入っている湿式クラッチと呼ばれる製品が主な事業商品となります。
製品の研究開発や設計、製造にあたって大切にしているのは、お客様が期待される以上の品質を提供することです。
現状に満足せず、より良い品質システムの構築にチャレンジし、継続的に改善することで、お客様満足の向上を目指しています。
万一不具合などが発生した場合は、その原因を徹底分析・解析し、業務プロセスや仕組みの改善と共に、再発防止に努めることをお約束しています。
太陽光発電の導入や部品製造の仕様・工法の見直し、廃棄物のリサイクル等で環境に貢献
弊社では事業活動全般を通じて環境と調和した発展を目指すことをCSR活動のひとつに掲げています。
基本的な環境方針としては、脱炭素社会ならびに循環型社会の実現への貢献や、公害防止および化学物質管理、生物多様性の保全、環境マネジメントシステムの継続的改善などが挙げられます。
中でも注力しているのは廃棄物の削減と再生エネルギーの導入です。
再生エネルギーに関しては、弊社には千歳工場と苫小牧工場の2工場があるのですが、このうち苫小牧工場近隣の苫東エリアに、来年度を目途に太陽光発電のパネルを設置する準備を行っています。
また、こちらは少し先の話になりますが、バイオマスボイラーの導入も検討しているところです。
千歳工場の方も、太陽光発電による再生エネルギーの導入検討を進めています。
一方、廃棄物削減については、弊社の主力製品のひとつであるクラッチ用ディスクに使われる摩擦材の仕様・工法の見直しを行っています。
従来はシート状の原反からリング形状で打ち抜く仕様を主流としていましたが、現在はドット形状で打ち抜いて組み合わせる仕様・工法を増やしています。
仕様・工法の見直しにより、材料の歩留まり(原料の量に対して得られる出来高の割合)が大幅に向上し、廃棄物の削減に大きく寄与しています。
もちろん、北海サンド工業さんに依頼している廃棄物のリサイクルも、廃棄物削減の重要な取り組みのひとつです。
ブラスト廃棄物のリサイクルを行っている数少ない会社 フットワークの軽さも魅力
北海サンド工業さんは、早くからリサイクル品に取り組まれるなど、挑戦する気概を感じられる企業だなと思っていました。
北海サンド工業さんとのお付き合いが始まった当時、私はまだリサイクルに関わっていなかったので詳しい事情はわかりませんが、もともと契約していた委託先からの切り替えが必要になったそうです。
新しい取引先を探していたところに、北海サンド工業さんの名前が出てきたので、社長さんにお話を伺ったところ、リサイクル製品への取り組みを行っていることを知り、取引を開始したと聞いております。
他の委託先もいろいろ探したようですが、単純に産廃物を埋め立てるなど、弊社が掲げる環境方針に合わないところも多々ありました。
環境問題に取り組む以上、廃棄物はなるべくリサイクルして、もう一度世の中で役立ててほしいという気持ちがあったので、リサイクルに注力している北海サンド工業さんを選んだという経緯もあったようです。
また、弊社としては委託先を選ぶにあたり、コンプライアンスが徹底されていることと、安心してお任せできることを重視しているのですが、北海サンド工業さんはこれらの条件を満たしているので、4年ほど前よりお付き合いをさせて頂いています。
具体的な委託内容としては、金属面の粗さを整える際に使用するアルミナ製の使用済みショットブラスト粉の回収・リサイクルをお願いしています。
北海サンド工業さんは日頃からとてもフットワークが軽く、何かあると社長さん自らが対応してくださるので、とても助かっています。
廃棄物ゼロを目指して リサイクル業者と協力して更なるリサイクルに努めたい
環境への取り組みについて、2030年で46%のCO2削減を目指し、さらに政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」の目標値への達成に向けて活動している最中です。
その一環として、2024年初頭からバイオマスボイラーの稼働開始を目標にしているのですが、木質チップを燃焼させるため、かなりの灰が排出されます。
予想では、1週間に1回は灰を捨てなければならないのですが、弊社としては埋め立てではなく、やはりリサイクルしたいので、その処理を委託する業者さんが今後必要になってくると思います。
北海サンド工業さんは灰(ばいじん)のリサイクルも請け負っていらっしゃるようなので、バイオマスボイラーを実際に運用するときは、またご相談したいですね。
2050年カーボンニュートラルを実現するためには、廃棄物ゼロとまではいかないまでも、最低限リサイクルできるような状況を作っておかなければなりません。
最終的には廃棄物ゼロに近付けるよう、何らかのアクションを取り続けていきたいと思っています。
北海サンド工業では、「鉱さい」「無機性汚泥」「燃え殻・ばいじん」の4品目の中間処理を中心にリサイクル事業に取り組んでいます。埋め立てられる可能性のある産業廃棄物を無害化・減量化・安定化することで、安全な再生品として新たな活路を見出し、循環型社会(サーキュラー・エコノミー)を実現しています。